他の相続人が遺産を開示しないときの対処法―相続財産調査の重要性と弁護士の役割
- 「亡くなった親と同居していた兄弟姉妹が遺産の内容を教えてくれない」
- 「亡くなった父の後妻が遺産の内容を開示してくれない」
- 「遺産の内容が明らかにされないまま他の相続人から相続の放棄を求められている」
「遺産の内容が明らかにされないまま、遺産分割協議書に実印を押すことを求められている。」
故人が亡くなり、その遺産分け(遺産分割)のための話し合いを進めるためには、まず、遺産の全貌を正確に把握することが必須です。しかし、被相続人と近い関係にあった相続人の中には、遺産の内容を十分に把握しながら、他の相続人に対して、故意に遺産を開示せず、また遺産の一部しか明らかにしようとしない方もいます。このような場合、相続手続が遅々として進まず、他の相続人は、いつまでも遺産をもらうことができず、いつになったら相続の手続が終わるのかといった不安を覚えることでしょう。
特に、相続税の申告との関係では、一定の期限内(原則、申告期限から3年以内)に遺産分割が成立しないと、配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例といった相続税の負担を軽減すための様々な制度が適用されないなどのデメリットがあります。そのため、速やかに相続財産の全体像を明らかにし、期限までに遺産分割を成立させることは、相続税の負担軽減という観点からも、極めて重要になってきます。この記事では、他の相続人が遺産を開示しない場合の対処法として、相続財産調査の方法と、相続財産調査において弁護士が果たす役割について解説します。
相続でお悩んでいる場合、いざ弁護士に相談してみたいと思っても、これまで弁護士に相談したことが一度もないという人も多いでしょう。弊事務所では、皆さんがお気軽にご相談・ご依頼いただけるように、低額の「相続人・相続財産調査パック」という商品が提案しております。
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目次
相続財産調査が遺産分割をスムーズに進める鍵―弁護士が教える相続財産の調査方法
公平な遺産分割に進めるためには、相続財産の内容を正確に把握することが不可欠です。他の相続人が相続財産を開示しない場合には、次のような方法によって相続財産を調査することができます。
預貯金の調査方法
預貯金口座のあることがわかっている銀行については、「全店照会」を依頼することで、その銀行の全国にある全ての支店について故人名義の口座があるかどうかを調査してもらうことができます。
どの銀行に口座があるかもわからない場合には、故人の自宅や介護施設、過去の勤務先の付近の金融機関に対し問い合わせをします。また、故人の財産を生前から管理していた相続人がいる場合には、その相続人の自宅付近などにある金融機関に対し、問い合わせをすることも検討します。
口座のある金融機関の支店がわかれば、その支店に対し、残高証明と取引履歴の開示を依頼します。特に取引履歴は、情報の宝庫です。取引履歴を入手し、その内容を精査することで、株式や、他の金融機関にある投資信託口座、保険、収益不動産などの存在が明らかになることがあるからです。
上場企業の株式の調査方法
上場企業の株式の有無については、証券保管振替機構に開示請求をします。保管振替のウェブサイトには、開示請求の手続の詳細が示されています。
https://www.jasdec.com/procedure/shareholders/disclosure/
開示請求を受けることで、株式取引の口座が開設されている証券会社、信託銀行が明らかになれば、各証券会社、信託銀行に対し、改めて株式の銘柄、保有残高などを照会します。
不動産の調査方法
登記情報提供サービスhttps://www1.touki.or.jp/の地番検索サービスを利用し、不動産の住所(住居表示)から、土地の地番を調べることができます。登記情報提供サービスの対象外の地域については、ブルーマップを調べることで地番を確認します。地番が確認できれば、登記情報提供サービスなどにより、家屋番号も確認することができます。
また、不動産の所在する市区町村から固定資産税の名寄帳を取り寄せることで、当該市区町村内の不動産を一覧形式で把握することができます。
現金、貴金属その他の高価品の調査方法
被相続人が生前に契約した貸金庫には、現金、貴金属その他の高価品などが保管されていることがあります。貸金庫の有無の調査方法としては、履歴被相続人の生活圏内にある金融機関に照会するなどの方法があります。
相続財産調査を弁護士に依頼することで得られるメリット
相続財産の調査は、故人の相続人の立場で自ら行うことも可能です。もっとも、相続財産の調査を、弁護士に依頼することも可能です。相続財産調査を弁護士に依頼することには、次のようなメリットがあります。
正確な財産の調査が期待できる
相続に強い弁護士は、相続財産調査に関する専門的な知識と豊富な経験を有しています。こうした弁護士に相談財産の調査を依頼することで、漏れなく相続財産を調査することができる可能性が高まります。
看護状況・介護状況の調査が期待できる
弁護士は、単に相続財産を調査するだけでなく、弁護士法に基づく弁護士会照会を用いることで、故人の入院していた病院、入所していた介護施設などにおける看護状況・介護状況を調査することもできます。こうした施設から看護記録、介護記録の開示を受けることで、他の相続人による不正な財産の取得や隠匿の可能性についても、調査・判断することが可能となります。
他の相続人との交渉を依頼できる
弁護士に依頼した結果、相続財産の存在が明らかになった場合は、引き続き、他の相続人との交渉も弁護士に依頼することができます。他の相続人が遺産の内容を開示しない場合において、依頼を受けてその相続人と交渉をすることができるのは、弁護士の一番の強みと言えます。相続に強い弁護士に交渉を依頼することで、より公平かつ合理的な内容の遺産分割に向け、協議を進めることが期待できます。
他の相続人に対する調停・訴訟などの法的手続をとることができる
協議が不調の場合であっても、調停や訴訟などの法的手続をとることで最終的な解決への道が残されています。弁護士は、紛争解決のプロフェッショナルです。調停や訴訟を弁護士に依頼することで、より有利な解決が期待できます。
遺産分割でお困りの方へ―相続弁護士への相談で安心の解決を
相続財産が開示されず、遺産分割が進まない場合には、相続に強い弁護士にまず相談をしましょう。弁護士に相続財産調査を依頼することで、公平な遺産分割を実現することができます。
また、当事務所は相続人の範囲、遺産の内容、遺言の有無等を調査する「相続調査パック」がございます。最低額は5万5000円(税込)となっており、通常の遺産分割の弁護士費用よりも低額です。弁護士に依頼するか迷っている場合は、まずは遺産調査パックをご利用してください。
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