遺産分割を自分で進めることはできるのかについて弁護士が解説
相続に関する手続は、極論を述べれば、あなたご自身で最初から最後まで行うことができます。
もっとも、あなたがご自身で相続手続を進めることは、「相続トラブル」のリスクを潜在的に抱え続けることになります。以下では、相続に強い弁護士の視点から、より具体的に解説いたします。
相続手続の中で最も重要な手続として、「遺産分割協議」があります。「遺産分割協議」とは、他の相続人との話し合いにより、誰がどの遺産をどのような方法で取得するかを決めるものです(なお、故人の財産を相続する人があなたご自身のみである場合は、他の相続人と話し合いをする必要はありません)。遺産分割協議成立に至るまでの作業、遺産分割協議が成立した後の作業は、いずれも非常に時間と労力がかかることが多いのです。いわゆる「相続トラブル」のほとんどは、この「遺産分割」がスムーズに進まないことに起因するといえるでしょう。
目次
遺産分割を進めるために必要な準備
まず、遺産分割協議を進める前に必要な準備がいくつかあります。具体的には、「相続人調査」と「相続財産調査」です。相続人、相続財産、いずれかが欠けても、遺産分割は無効となるリスクがあるため、いずれの調査も、遺産分割協議の事前準備として非常に重要です。
相続人調査(戸籍収集)
相続が発生したら相続人を確定させるために、故人の出生から死亡に至るまでの戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本等)を全て取寄せ、相続人が誰か、を把握します。
相続手続を行う場合、様々な場面で「戸籍」が必要となりますので、相続が発生したらまずはこの収集を初めにやらなくてはなりません。
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相続手続を初めて対応する場合、知識が全くないところから、ネットで調べたり書籍で調べたり法務局や市役所などに相談に行ったりとわからないことを全て調べることから始まります。 初めてでなくても、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を全て取得する作業や相続人の確定・相続関係説明図の作成をご自身で対応することは非常に骨が折れる作業です。特に、市役所等に行かないといけない用事の場合、平日昼間しか対応ができない場合が多く、お仕事をされていたり、日中は家事をしていたりご多忙な方にとっては非常に大変なことかと思います。 また、もし、相続人調査をご自身で行い、遺産分割協議が終わったあとに他の相続人の存在が判明した場合、協議をやり直さなければならなくなります。 |
当事務所の所属弁護士は、いずれも弁護士登録から10年以上の経験をもち、その間多くの相続問題を解決した実績があります。当事務所にご相談いただければ、あなたがもし相続のことを全く知らなくても、弁護士から丁寧に今後の対応についてご説明をさせていただきます。 また、相続人調査を当事務所の弁護士にご依頼いただくと、戸籍収集の代行、相続人の確定・相続関係説明図の作成を進めるだけでなく、あなたのご依頼いただいた調査結果をもとに相続トラブルの可能性を診断させていただきます。 もし相続トラブルの可能性がある場合、そのまま遺産分割協議の交渉代理もご依頼いただくことが可能です。 |
相続財産調査(不動産・預貯金・有価証券等の調査)
次に、被相続人が遺した遺産の全容を調査します。
例えば、預金通帳やキャッシュカードなどをもとに金融機関から残高証明書を取得して、被相続人の預貯金がどのくらい存在するかを把握します。
ここで調査が必要なものの一例として、「不動産」、「預貯金」、「株式等の有価証券」があります。詳細は財産調査の解説ページがありますので、あわせてご覧ください。
相続財産(遺産)の調査方法について>>
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相続財産の調査をする、といってもどこから始めればよいのかご自身では判断しかねることが多いと思われます。 上記のような作業は、なるべく詳細に調査をして、抜け漏れなく行う必要があります。なぜなら、遺産分割協議終了後に故人の財産の記載の抜け漏れがあったことが判明すると、原則として遺産分割協議をやり直さなければならなくなるからです。 |
相続財産の調査を進める方法について、弁護士よりご説明をさせていただきます。また、当ウェブサイト内にも解説を載せております。 相続財産の調査方法について>> 記事をお読みになったうえで大変だと感じられた方は、相続財産調査を当事務所の弁護士にご依頼いただくことができます。 ご依頼後、不動産、預貯金、株式等の有価証券等を調査するだけでなく、ご依頼いただいた調査結果をもとにあなたの相続トラブルの可能性を診断させていただきます。 もし相続トラブルの可能性がある場合、そのまま遺産分割協議の交渉代理もご依頼いただくことが可能です。 |
遺産分割協議を進める場合に必要なこと
では、実際に遺産分割協議を進める場合、どのようなことが必要となってくるのでしょうか。
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議は、あなたを含め、相続人全員の合意が必要です。もっとも、必ずしも相続人全員が同時に一箇所に集まって話し合いをして、合意をする必要はありません。
例えば、相続人のうちの1人が遺産分割協議書案を作り、他の相続人に送付して提案し、これに対して各相続人が署名・押印するという方法でも遺産分割協議を進めることが可能です。
他の相続人に遺産分割協議書案を見せ、問題ない旨の返事をもらい、署名・押印をもらえば遺産分割協議は成立となります。
遺産分割協議書の作成に必要なもの・こと
遺産分割協議の結果、遺産を誰がどのくらい取得するかが確定したら、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書の作成方法は他の記事でも解説しておりますが、ここでは他に必要な事項についてまとめます。
まず、「遺産分割協議書の作成に必要なもの」として、下記が挙げられます。
・被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍・現戸籍)
・被相続人の住民票の除票と戸籍の附票
・相続人全員分の戸籍謄本
・相続人全員分の印鑑証明書と実印
※提出先の公的機関によっては、各証明書は発行から3か月以内のものと指定がある場合があるため注意してください。
加えて、必要なこととして、下記のようなことが挙げられます。
・故人(被相続人)から相続をする人(相続人)が抜け漏れなく遺産分割協議に参加しているか
・故人(被相続人)の相続財産(遺産)は全て財産目録に抜け漏れなく記載されているか
・上記に記載の遺産分割協議書と一緒に必要になる書類はそろっているか
「遺産分割協議」をご自身のみで進めるのは難しい
ところで、この「遺産分割協議書案」をご自身で作成し、他の相続人に納得してもらうことは、事案によっては非常に難しいことがあります。
当事務所では、ご自身で遺産分割協議書案を作り、署名・押印を他の相続人に求めたが、納得できないと言われて困っている、という方のご相談が絶えません。
特に、下記のようなパターンに当てはまる場合、要注意でしょう。
・遺産の中に不動産がある場合
相続人のうちの一人が不動産を取得して他の相続人に代償金を支払う「代償分割」の場合、不動産の評価額が争点になって、相続争いになることがあります。
・他の相続人と疎遠な場合
例えば、故人の前妻(前夫)の子のように、顔をほとんど合わせたことがないなど疎遠な相続人がいる場合には、一方的な主張を押し通されそうになったり、遺産分割協議書案を送っても完全に無視をされたり、ということが起こりえます。
・「寄与分」を主張される場合
故人と同居して、介護や家事手伝いをしていた家族が相続人にいる場合、その人から「寄与分」の主張をされる可能性があります。この場合は調停・審判にまで発展する可能性もあります。
以上のパターン以外にもトラブルの可能性はあります。
少しでも「相続トラブルが起こるかもしれない…」と感じられたら、速やかに弁護士にご相談してください。
遺産分割協議がまとまらない場合の調停手続
他の相続人と遺産分割協議を進めている中で、どうしても主張が折り合わない、協議がまとまりそうにない状況になった場合、遺産分割調停を申し立てることで、状況を打開できる可能性があります。この場合もご自身で対応することが可能ですが、弁護士にご依頼いただいたほうがスムーズと考えられます。以下にまとめさせていただきます。
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遺産分割調停を申し立てるには、調停の申立書以外にも資料をたくさん集めたり作ったりなどして、家庭裁判所に提出をしなければなりません。調停申立書の作成をご自身で対応するために、いろいろ調べる必要があり、大変な手間がかかります。 |
当事務所の弁護士にご相談いただき、まず「調停を申し立てることが適切かどうか」を検討します。その後、調停の申立てが不適当であれば、相手方と遺産分割の交渉をさせていただき、なるべく交渉で解決するように尽力いたします。 他方、調停の申立てをすべきだと考えられる場合は、遺産分割調停の申立てに必要な書類の収集・作成・提出の全てについて弁護士が対応いたします。その後、調停期日に代理人として出頭し、あなたの主張を適切な形で裁判所にお伝えするように努めるとともに、主張を裏付ける証拠の収集・整理・提出についても適切に対応いたします。また、もし、審判に移行した場合も最後までサポートさせていただきます。 たとえ相手方に弁護士が付いても、当事務所の弁護士は相続問題の解決件数が多く、家庭裁判所の調停官もつとめるなど、相続問題に関し豊富な知識と経験を有していますので、安心して対応をお任せいただくことができます。 |
遺産分割協議が終わった後に必要な手続
無事、遺産分割協議が終わると、次は相続した財産の名義を変更したり、相続人に分配したり、場合によっては相続税の申告を進めたりといった、複雑な作業があります。以下では代表的な「預貯金の相続手続」、「不動産の相続手続」について解説いたします。
預貯金の解約・払戻し
預貯金の解約・払戻しはご自身で進めることも可能ですが、弁護士にご依頼いただくことも可能です。
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預貯金の解約のためには、まず遺産分割協議が完了し、遺産分割協議書が完成していることが必要となります(※有効な遺言がある場合は原則不要となります)。 |
金融機関によっては、平日昼間しか空いていないことがあり、ご自身で進めることが難しい場合もおありかと思います。 ご多忙の場合は、当事務所に預貯金の相続手続の代行をご依頼いただくことができ、手間がかからなくなります。 また、他の相続人にとっても、弁護士が預貯金口座の解約・払戻し手続を進めることによって、より安心感を得られますし、なにより、あなたにとって手続の抜け漏れによるトラブルを防止することが可能です。 |
(不動産がある場合)不動産の名義変更及び売却に伴う金銭の支払い
不動産の名義変更手続(相続登記)には、多くの作業があります。
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被相続人が残した土地などの不動産を相続した場合、所有者の名義を変更しなければなりません。名義変更が済んでいない不動産は売却することもできず、相続登記ができない期間が長くなればなるほどトラブルが起こりやすくなります。所有者が変わったタイミングで相続登記を行いましょう。 |
当事務所の弁護士にご相談いただき、ご依頼いただいたのち、不動産に関する登記事項証明書や固定資産評価証明書など必要な書類をすべて収集し、手続に向けた準備を行います。 また、不動産の売却を実行し、売却代金から諸経費を控除した残金を分配する「換価分割」の場合も、弁護士が代行することで、諸経費の精算と代償金の支払いを確実かつ正確に進めることが可能です。 相続関係が複雑になればなるほど、本人での登記申請は難しく、また被相続人の死亡後時間が経てば経つほど、トラブルも起こりやすいので、弁護士に依頼するほうが早くて確実でしょう。 |
遺産分割についてお困りごとは早めに弁護士にご相談を
□相続人調査を自分だけで進める余裕がない
□相続財産(遺産)調査を抜け漏れなく進める自信がない
□遺産分割を自分で進めることが難しい
□遺産分割協議がまとまりそうになく、自分ではお手上げだ
□相続手続を自分で進める余力がない
こういったことでお悩みの方は、まずは弁護士に相続の相談をしていただくことをおすすめいたします。
相続問題の解決実績が豊富な弁護士が長期間放置していた相続の問題を解決に導くサポートをさせていただきます。
当事務所では相続に関する初回相談は60分無料ですので、お気軽にご相談ください。
無料相談のお申し込みはお電話「078-335-0651」または問い合わせフォームより受け付けております。